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■ 東大式トレチノイン治療(tRA)とは
詳細は、吉村浩太郎先生の『美容医学への扉』に全てかかれていますので、別途ご参照いただければと思いますが、トレチノイン(以下tRA)は、海外では、にきびや光老化の治療薬として広く使用されています。
脂溶性のトレチノインを水溶性のゲルに溶かしたところに吉村先生のトレチノインの効果の素晴らしさがあると私は考えています。
他社からも多数のトレチノインは私が知る限りは殆ど脂溶性クリームとなっています。その点は実際に東大式のトレチノイン治療を診た事がないと何ともいえないように思います。
tRAの持つ
表皮角化細胞の増殖促進、
ターンオーバー制御作用、
真皮内でのコラーゲン産生促進作用などに基づき、
短期的には表皮のresurfacing効果があり、皮脂の分泌を抑え、にきびに対して効果があると共に、他の漂白剤とうまく併用することで、しみなどのメラニン色素性疾患に効果を表します。
長期的には真皮におけるコラーゲンの産生促進を通して皮膚の張りを取り戻し、細かいシワに効果が見られます。
本療法の最大の問題点はtRA外用に伴って生じる皮膚炎です。
0.1%のtRA治療を行うと顔面では通常1-3日後には発赤や落屑が見られ、角質がとれるため、更に薬剤の吸収が高まり炎症症状が進行します。灼熱感を伴う場合もあります。
しかし、こうした皮膚炎症状は、外用を継続していると、徐々に沈静していきます。
炎症を伴う治療の場合、治療に伴う炎症が新たな炎症後色素沈着を引き起こす可能性があることは常に念頭においてください。
米国ではtRA『外用』では催奇形性はありえないと結論付けられ、仮に注意するとしても『妊娠している女性』のみで十分であるとする意見が多いですが、tRA使用中及び使用後2ヶ月程度は避妊を励行するようにしてください。(以上、吉村浩太郎Dr論文より抜粋)
tRAは『皮膚に関わる全てのことを治癒させる』治療法ではありません。しかしながら、特定の皮膚症状に対しては著明な外観上の改善が期待できます。治療の効果を高めるために、ハイドロキノン(以下HQ)、高濃度ビタミンCローション(以下VC)を併用します。併用が行えない方には処方は行いません。
症例
症例1) 肝斑+雀卵斑
トレチノイン治療(頬のシミ)+ハイドロキノン+当院高濃度VCローション使用
+トラネキサム酸+ビタミンC

tRA 治療前

tRA治療開始2週後
tRA治療開始後4週
・開始2週後には、全体に赤みが出ています。非常に細かい作業ですが、丁寧に塗布されていました。この時点でtRAは中止してもらいました。
・開始4週後には、赤みもかなり改善。また肝斑部、目の周辺の境界不明瞭な色合い(茶系)も改善しています。これはトラネキサム酸の効果です。
症例2) 老人性色素斑
トレチノイン治療(頬のシミ)+ ハイドロキノン + 当院高濃度VCローション 使用
・開始2週後には、既に赤みの下でシミが消失しているため、塗布は2週間で中止指示
・開始4週後には、やや赤み認めますがかなり薄くなっています。またシミは消失しています。
・開始8週後には、シミは無くなっていることが分かると思います。

tRA 治療前

tRA 治療開始2週後
tRA 治療開始4週後
tRA 治療開始8週後
■東大式トレチノイン治療(tRA)で考えられる合併症
- tRAやHQは日本では医薬品として認可されていません。
- tRA大量内服で催奇形性の報告があります。外用では報告されていませんが、念のため妊娠中は使用しないで下さい。また使用中は必ず避妊してください。
- 別にお渡しする『トレチノインによるしみ、にきび治療』を熟読し、その内容に従って使用してください。指示通りにされても期待する効果が出ない場合もあります。
- tRAは刺激が強く、発赤し皮がめくれます。刺激を和らげるVCを使用してください。
- しみの場合、HQの併用が必要です。このためHQにかぶれる方はtRAを使用できません
- 皮膚が紫外線に敏感になるため、遮光が重要です。サンスクリーンミルクなどサンスクリーン剤をしっかり使用して下さい。
- これらの成分は不安定で、冷蔵庫に保管し必ず2ヶ月以内のご使用としてください。
- 指示通りに通院が必要です(初診時は2週毎。定期フォローの再診料は不要です)。指示通りにされない場合は処方できません。
- 使用に際して2~4週間に1度の頻度で患部の写真を撮らせていただきます。医師の指示に従ってください。撮影できない場合は、トレチノインは使用できません。
- トラネキサム酸、ビタミンC、ビタミンEの内服併用を行うことで、肝斑・レーザー照射後色素沈着などの改善効果が、より期待できます。
- 何かのトラブルが発生した結果、外科的手術、入院加療、休職、費用負担を余儀なくされることがあります。
- 大変刺激の強い薬剤なので、他人に勝手に譲渡、使用しないで下さい。(当院では一切責任を負いません)
※ トラブルが現れた場合は、速やかに使用を中断し、クリニックに知らせてください。早期に適切な処置をする事で、トラブルを最小限に抑えることが可能です。
※ 上記リストはtRAにより起こりうるトラブルを全て提示する事を目的としたものではありません。
東大式トレチノイン 料金表
(10%税込)
治療内容 | 税込 |
---|---|
初診料 | 5,500円 |
再診料 | 3,300円 |
トレチノイン治療 スタートキット ※1 | 22,000円 |
5% HQ 7% ビタミンC 親水軟膏 10g | 9,350円 |
ビタミンC ローション プラセンタ入 50ml | 4,950円 |
ビタミンC ローション プラセンタ入 200ml | 16,500円 |
ビタミンC ローション プラセンタ無し 50ml | 4,400円 |
ビタミンC ローション プラセンタ無し 200ml | 13,750円 |
トレチノイン 0.1% 5g | 7,150円 |
トレチノイン 0.1% 10g | 13,200円 |
トレチノイン 0.2% 5g | 8,250円 |
トレチノイン 0.2% 10g | 14,300円 |
トレチノイン 0.4% 5g | 10,450円 |
トレチノイン 0.4% 10g | 18,700円 |
肝斑セット A 30日分 ※2 | 6,600円 |
肝斑セット B 30日分 ※3 | 8,250円 |
肝斑セット C 30日分 ※4 | 14,300円 |
※1 トレチノイン治療 スタートキット
・ 0.5%トレチノイン 5g
・ 5% HQ 7% ビタミンC 親水軟膏 10g
・ プラセンタ入りビタミンCローション 50ml
※2 肝斑セット A (トラネキサム酸+ビタミンC)
※3 肝斑セット B (トラネキサム酸+ビタミンC+ビタミンE)
※4 肝斑セット C (トラネキサム酸+ビタミンC+ビタミンE+HQ 10g)
tRAは0.1→0.2→0.4%と反応がない場合upします。
tRA濃度up時は、別途追加tRA購入費用が生じます。