目次
検診やスクリーニングのX 線造影検査や内視鏡検査で粘膜下腫瘍が疑われた時には,
腫瘍の大きさや形状,
占拠部位,
随伴する潰瘍や陥凹の有無をみる。
GIST を含む間葉系腫瘍が疑われる場合は,
特に大きさがその後の治療方針の目安となるので,必ず計測する。
内視鏡による生検は必須である。
腫瘍径2 cm未満の間葉系腫瘍で,
半球状を呈し,
輪郭が比較的平滑であり,
潰瘍や陥凹を伴っていなければ,
年1~2 回のフォローアップを行う。
フォローアップで急速な増大傾向を示す,
あるいは潰瘍形成や辺縁不整を呈し悪性病変が疑われる時には,
CT,
超音波内視鏡(EUS)や
超音波内視鏡下穿刺吸引生検法(endoscopic ultrasonography guided fine needle aspiration biopsy;EUS-FNAB)
による精査を行う。
腫瘍径2cm 以上,5cm 以下のものについては,
CT,
EUSおよび
可能であればEUS-FNAB
により精査を行う。
腫瘍径5.1cm 以上の病変,有症状または生検でGIST と診断された病変については,
手術を前提としてstaging を目的とした画像診断を行う。
腫瘍径2cm 以上の病変について,
良悪性の鑑別診断・病期診断の目的でCT による精査が行われる。
一般に5.1cm 以上の病変では
周囲の消化管との関係が重要であり,
一方2cm 前後の病変では
消化管が伸展されていない状態では病変自体の検出が困難であるため,
CT 検査においては
希釈したガストログラフィン,水や発泡剤などの経口造影剤の併用が望ましい。
また,経静脈性造影剤も可能な限り用いることが望ましく,腫瘍と周囲臓器との間によりコントラストをつけ,消化管壁の層構造を描出できる効果があり,病変の鑑別診断を行い,病変と消化管の辺縁血管との関係等をみることを可能にする。
同時に周囲臓器浸潤,肝転移,腹膜播種,リンパ節転移等をみるためにも1 回の撮像であれば門脈相にあわせて撮像するのがよい。
CT 撮像の条件は
スライス厚/スライス間隔は5mm スライス厚以下の連続スキャンを標準とする。
CT による病変の性状の検討では,
大きさ,
内部濃度,
腫瘍内部の均一性,
充実性・嚢胞性成分の多寡,
腫瘍の増強効果(vascularity の把握),
管腔外発育の形態,
浸潤の有無
などの評価が重要である。
GIST は大きさが増大するにつれ
出血や壊死を生じ,ときに石灰化することがある。
また,大きさにかかわらず,壊死により嚢胞変性(単房性または多房性)を生じることも多く,他の嚢胞性病変との鑑別に注意が必要である。