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整形外科外来について その1

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4月1日から保険診療開始です。

 当院では、整形外科、麻酔科、内科、皮膚科を標榜していますが、

各々どんなことができるのか大まかに書いていきたいと思います。

まずは、整形外科。

私の主科です。プロフにあるように、卒後2年間は阪大麻酔科医局にいましたが、1年目の終わり1995年1月当時の勤務先の関西労災病院勤務時に、あの阪神大震災に遭遇しました。

あの時のことは17年経過した今でも鮮明に覚えています。
その体験があったこともあり、麻酔科から整形外科に転科しました。

未だに高齢者の方は整骨院や鍼灸院、カイロプラクティスなどを医者と間違えている方がいます。
しかし医者とそれ以外のこれらの職種とは厳然たる違いがあります。

それはまず第一に、勉強時間とその量ではないでしょうか。
医者になるには、まず医学部に入学しなければなりません。

私の出身校の筑波大学の場合、2年生から解剖等が入ってくるので5年で全体のカリキュラムを熟します。

最近の他大学は分かりませんが、当時の例えば東大などは最初の2年間は教養であり、3年~6年の4年間が専門課程として医学を学ぶ時間となります。
4年ないし5年ですが、終日授業や実習、そしてテストなどがあります。

一方、数年前に柔整・鍼灸の学校に整形外科と解剖を教えに行く機会があったのですが、こちらは午前の部と午後の部があり、1日各2時間程度でしょうか。それを計3年かな、やると一応国家試験?が受けれるそうです。
そして、それで免許を取ると彼らには開業件があるため、さっさと開業して、いきなり患者さんを診ることになります。

通常、整形外科の場合、6年間大学で勉強し、医師国家試験に合格すれば研修医制度のない当時はすぐに医者として医療には携われますが、かといって医局に属している場合、関連病院でいきなり外来をするか、といえばそんなことはなく、まずは入院患者さんを診ながら、机上の勉強と実際の患者さんの治療と両方を経験し、また、先輩医師の外来診療などを見たりしながら、患者さんに接して行ったりします。

外来をやるにも大体2~3年目になって初めて外来に関わるわけで、医学部から考えれば、8~9年経過して、初めて外来で患者さんを診ることが出来ます。

一方午前だけとか午後だけたった数時間の勉強を3年間。しかもほんとかどうか真偽は知りませんが、当時その学院の先生に教えてもらったところによると、柔整の国家試験の問題は歯科医が作っている(!?あまりに突拍子もない話で信じがたいのですが、間違いなくそうだと聞かされたのですが...)ような問題。

それをクリアした早ければ20歳そこそこの若い子達が、整形外科医でも難渋する慢性の変形性疾患などを、『私が直してしんぜよう(治してではないと思っています)』とくるわけです。

教えていた時にも学生にも言いましたが、たとえば阪大の関連病院の行岡病院にも柔整はいました。しかし彼らは医師の指示の元に動いていたようです。
熟練した先輩医師と一緒に治療を見、当っていれば、それなりの経験が詰めると思いますが、専門学校にちょっと行っただけで、開業しているようなところでまともな診断ができると思えず、結果としてまともな治療は出来ないと思います。

医療機関でずっと治らず苦しんでいたものが、整骨院や鍼灸院にいけば治るということは無い。私はそう思っています。
また鍼灸院や整骨院に行ったら直った。というのは行かなくても安静加療で治ったものと思います。

話が大きくそれましたが、そういったわけで、整形外科は筋骨格系の疾患を診ます。
その中でも、上記のような乱立する代替医療とは異なり、薬物療法や注射治療なども行えます。

勿論全ての人に効果があるとは言いませんが、それでもリハビリ(や代替医療)だけではどうしようも無い場合には、やはりそういった侵襲性の高い治療を選択する必要もあるかと思います。
無論、当院でオペは不可能ですので、オペの適応が考えられる場合には、オペのできる病院をご紹介する、ということになります。

 というわけで、まず、下記のような症状をお持ちの方には当院でも治療が行えると考えられます。

・ 頸肩部痛
・ 各部位の関節痛(肩関節、肘、手関節、肘関節、足関節など)
・ 腰背部痛
・ 坐骨神経痛
・ 慢性期の疼痛性疾患

などです。

★ いわゆる肩こり、腰痛

これらは主に筋肉性のものなので、
・ 抗炎症鎮痛剤(NSAIDs)、筋弛緩薬、胃薬の内服治療、
・ しっぷ、塗り薬など外用薬による薬物治療
・ 頸肩部であれば、肩甲上神経ブロック、トリガーポイント注射
腰痛であれば、傍脊椎神経ブロック、トリガーポイント注射
などが行えます。

★ 肩関節痛(よくある四十肩、五十肩といわれるタイプの痛みです)

肩関節周囲炎は除外診断ですから、ちゃんと診断をつけるにはレントゲン(x-p)をとって、石灰沈着は無いか、とか変形はないか、とか見る必要がありますが、例えばどっかで既にx-pは撮られていて、そういった診断はついているけど、外科の先生なので、関節注射まではせず、リハビリと内服外用のみでフォローされている。
こういった場合、その先生から紹介状があれば、注射は当院で、後はかかりつけの先生に。かつ注射による治療の状況報告を随時主治医の先生に行う。
といったことも行うことが出来ます。

ちなみに、肩の注射ですが、上記の頚肩部痛も含めると何種類か注射があります。
頸肩部痛なら上記の如く、トリガーや肩甲上神経ブロック。

でも肩関節なら、まずはSAB(肩峰下滑液包)ブロックを行ってみます。
ちなみに、疼痛が強い場合(例えば夜間痛が強くあまり眠れないといった場合)には、ステロイドを混注すると結構劇的に良くなる方もいるのですが、こいつは糖尿病(DM)をお持ちの方には行えません。
というわけで、DMをお持ちの患者さんの場合は、まずは主治医に相談して頂き、血糖コントロールを行った上で、当院で使用するステロイドの種類と投与量をお伝えし、了解を頂いた上で注射を行う、ということになります。

ちなみに、この過程は、いずれ述べる腰部の硬膜外ブロックの時にも、同様に必要となります。

それでも駄目なら、ヒアルロン酸の関節腔内注射を行います。
こちらは中外製薬のスベニールという高分子のヒアルロン酸を週に1回、連続5回までは認められていますので、こちらを行ってみる、ということになります。

いずれにしましても、関節内もしくはそれに準ずる部位へ注射を行った当日は、念のため、入浴は辞めてもらっています。(入浴に関しては種々のご意見はあるかと思いますが、勤務医時代、清潔観念の無い非整形外科医と思われる開業医の頻回関節注射による化膿性関節炎の悲惨な症例を何例も見てきましたので、私はそう決めています。)

かなり長くなりましたので、続きは別投稿にて..。

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『整形外科外来について その1』へのコメント

  1. 名前:大阪枚方市のすまい創り伴走者やまもとひでお 投稿日:2012/03/30(金) 01:15:36 ID:589fc6ab0 返信

    SECRET: 0
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    違いがよくわかりました。

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