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清潔観念の無いある開業医による化膿性膝関節炎の一例

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 以前、ピアスについて で書きかけていた一件です。

 私がある市立病院に勤務していたときのことです。
救急当番をしていたのですが、時間外で膝がパンパンに腫れ、熱感を持った患者が来ました。

 見た瞬間に一般の方でも分かるくらいにパンパンに腫れあがった真っ赤になった膝。熱感もあり、疼痛も認めます。

 punc(プンクと呼びます。punctureの略です)をすると50ccの注射器で2回+α つまり100cc overの関節液。
 通常は関節液はあっても2~3cc。若干色がついていますが、ほぼ無色透明という感じなのですが、ミルクのような乳白色。
 腫張、熱感などと共に感染を疑います。

 で、私がキレたのが、患者さんが持ってきた大学ノートの端っこをちぎった紙切れに殴り書きで一言。

「患者よろしく」。

 それに名刺が1枚。

 それを見て私は内心ピキピキしながら、
『ひょっとして何!?いつもこの名刺の先生のところにかかっていて、膝に注射をされていたけど、今回こんな状態になったので受診したら、時間外だけどオレが市立病院に電話しておいてやるから、すぐに行って来い!とか言われてこられたんですか?』と私が聞くと、

「そうなんです!」...。

『病院にはそんな先生からは何の連絡も来ていないんですけど...。』
「そうなんですか...!?」 

 明らかにiatrogenic(医原性)の感染。
患者さんは明らかに被害者です。

なので、もちろん患者さんには丁寧に接していますが、この清潔観念も社会常識もない開業医に私はぶちキレ。
 ちょうど一緒に救急当番になっていた整形外来の主任さんから、「先生、紹介状の返事書いて!」、といわれたので、ぶちきれている私は、

『相手が大学ノートの切れ端なんだから、僕もカルテを破ってその切れ端に返事を書く!!』と申したのですが、

 主任さんが一言。「あほなこといわんといて!さっさとちゃんと返事書きなさい!」

 『・・・はい...。orz』

 ということで、人間として当然のことが出来ない医者は、清潔観念もありませんでした。はい。

 関節内には基本的に血管はありません。ですので、一旦感染を起こすとなかなか治すのにも手間がかかります。
 上記の患者さんは結局、膝を一旦大きく開創、洗浄デブリし、確か1週間程度持続洗浄を行いました。

 腰や殿部、頸肩部といった場所のブロックなら、イソジン1回や酒精綿での消毒でも基本的には問題ないですが、膝や肩の関節内注射は私は必ず2回イソジン消毒を行います。
 それで100%感染を防げるとはいいませんが、これまでの上司に従い、この方法を続けて約18年、幸い自身の患者さんでは関節注射による感染は起こしていません。

 たかが消毒、されど消毒。

 感染に関しては100人に数人、つまり100回やれば数回の確率で感染が起こる可能性があることは、患者さんも常に念頭に置き、医者の消毒にも目を光らせておいたほうが良いと思います。

 そもそも患者にえらそうな医者、検査などの説明を億劫がる医者などがいたら、それは要注意だと思います。

 皆様くれぐれもお気をつけて...。


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